2024年9月、東京都町田市で発生した睡眠薬混入事件は、多くの人々に衝撃を与えました。この事件では、修理業者を装った男が、女性の自宅を訪問して修理を行う振りをしながら、飲み物に睡眠薬を混入。女性が意識を失った後にわいせつ行為を行うという悪質な犯罪が行われました。

この記事では、自ら多くのエアコン修理に携わってきて業界の裏側も知っているエアコン専門店の視点から、このような事件に巻き込まれない為のエアコン修理業者の見極め方を紹介いたします。

修理業者を装った男による犯行　-事件の概要-

エアコン修理業者を装った男が、マンションに住む20代女性に睡眠薬を混入した飲み物を飲ませ、性的暴行を加えるという事件が発生しました。男はエアコン修理の名目で女性宅を訪問し、「暑いから飲みな」と言って睡眠薬入りの飲み物を提供したとされています。女性が意識を失った後、男はわいせつな行為に及びました。同居する男性が帰宅し、女性の異変に気付いて警察に通報したことで事件が発覚しました。

エアコン修理を依頼する際に気を付けるポイント

今回の事件を受けてエアコン修理を依頼することに対しての皆さんの危機意識がかなり高まっていて「エアコン　修理　睡眠薬」での月間検索数は1万件近くになりました。そして皆さんが知りたいのは「容疑者はどこの会社に努めているのか」少なくともその会社に依頼は絶対にしないですよね。しかしながら容疑者は会社員なのかそれとも個人事業なのかそれすら情報は出ておらず、マンションの管理会社を通して派遣されたということだけが分かっているといった状況です。
実はこの、管理会社に依頼したというところが重要なポイントで落とし穴になります。

管理会社経由や名の通った大手なら安心は「間違い」

この事件では被害者はエアコン修理業者の手配を管理会社に依頼していたようです。賃貸マンションの場合、入居時に設置されているエアコンの修理は原則管理会社や大家さんに連絡することになります。世帯数の少ないアパートなんかでは、エアコンをはじめ電気設備の施工管理に精通した設備屋さんが管理をしている物件もありますが、世帯数の多いマンションなどは基本的には大手の管理会社が担当しているでしょう。大手の管理会社というのは現場での実務を行わない手数料中抜きビジネスがメインとなりますので修理業務などは下請けに丸投げします。

・管理会社が依頼する業者なら信頼できるのか？

この事件では管理会社が危険な業者に依頼をしてしまった事に問題があります。「でも管理会社がそんなどこの誰かもわからない業者に依頼するの？」と思われるかもしれませんが、全然あります。普通にあります。
例えば、マンションは東京にあるけれど管理会社の所在地が千葉だった場合、または大阪だった場合、しかも真夏のエアコン故障となると管理会社はどのような対応をとるか想像してみてください、「エアコン修理お任せ下さい！即日対応！」などと謳う業者のサイトがネット上には溢れています。このようなサイトは多額の広告費を使って無理やり上位に表示させているぼったくり業者のサイトであり、各地に低報酬で契約した個人事業者を抱えていてそのような人が派遣されます。この容疑者の男は1年前にも同じ部屋のエアコン修理をしていたそうです。つまり直っていないので素人の可能性が高くそのような事業者ばかりなのです。
仲介業務がメインで知識がなく業界の動向などにも疎い管理会社のスタッフが手っ取り早く解決したいのでこのような業者を使ってしまうのです。

・責任の所在が不明確

管理会社などに任せっきりにしてしまうと適当に下請け業者を手配されるので、どこの業者でどんな人間が来るのかまったくわからなくなってしまします。そうなると当然なにか起きた際の責任の所在もあいまいになって結局被害者が泣き寝入りするはめになります。今回の事件でも容疑者がその後どうなったかは分からず、管理会社や元請け業者誰一人社会的責任を負わずただただ被害者だけが苦しむこととなってしまいます。

依頼してからでは遅い

身を守るすべとして「業者の良し悪しは分からないから、玄関に防犯カメラを設置したら抑止力になるんじゃない？」と思うかもしれませんが、今回の事件では容疑者はすぐに捕まっていますしマンションなので色んな所に防犯カメラがあったはずです。このような人間に自制を促したところで無駄ということです

メーカーへ修理依頼すれば安心か？

ネット広告などを大量に出している実態のよくわからない業者に依頼するくらいなら、メーカーに依頼した方がはるかに安心で修理技術も高いです。ただデメリットとしてはメーカー修理技術者は圧倒的に人手不足であり訪問するまでにかなりの時間がかかるでしょう。地域によっては1ヶ月待たされる可能性もあります。
逆に言うとメーカーがそのような状況の為、悪質な業者が大量発生してしまうとも言えます。
一般的にはメーカーに依頼した場合は修理代が高くなりますが、急ぎではなく金銭面も気にならないのであればメーカーに依頼するのが一番安心です。

急ぎであれば実態のある地元業者一択

真夏にエアコンが故障して早くどうにかしてほしいといった気持ちは分かりますが「最短即日対応！出張費無料！」などの謳い文句に惹かれ安易に依頼してしまうのは非常に危険です。ネットを使って業者を探すのであればまずは会社情報などをしっかりチェックして地元に実態のある業者を選びましょう。

1.グーグルマップへ登録されている業者

まともに営業している業者であれば、まずグーグルマップに登録されているはずです。グーグルマップには個人事業など実店舗がない業者でも審査を通れば登録できますので、信頼を得たい業者は必ず登録するはずです。客商売なのに登録しない理由は、よほどデジタルに弱いか何かやましいことがあると思って間違いないです。でもデジタルに弱い業者がネットで集客サイトを作れますか？人目に触れないほうが好都合ということであえて登録していないので気を付けましょう。

2.所在地が地元

業者の実態が明らかであっても地元の業者でなければ結局下請けを利用し、どこの誰だか分からない人間が派遣される可能性が高くなってしまします。

3.ホームページやSNSなどで情報を発信している

1.2の条件も満たしていて、なおかつこまめに自ら情報を発信している業者は、ほんの少し、たった一度でもお客が不利益を被っただけでもクレームが投稿され死活問題になります。もちろん全てが完璧な業者では無いでしょうが少なくとも自身のサービスに自信を持ち、トラブルがあった際などは最後まで責任を持って対応するという覚悟を持っていると言えます。

賃貸で修理を依頼したい場合はどうするか

ここまでの話をまとめると、修理業者を選ぶ際には自らしっかり調べて依頼する必要がありますが、賃貸では原則管理会社や大家さんに連絡する必要があり、自分の好みで業者を手配することが出来ない場合はどうすれば良いのでしょう。

なぜ自分で依頼出来ないのか

そもそも賃貸ではなぜ自分で依頼出来ないのか？これは依頼出来ないわけではなく入居時に設置されているものは大家さんに管理責任があるので修理費用などを大家さんで持つことになります。そのため依頼から請求までを簡潔に出来るので大家さん自ら手配した方が都合が良いのです。
極端な話「修理費用は全て自分で支払うので修理業者も自分で手配させてください」と言えば了承してもらえる可能性は高いでしょうが、言ってみれば人のものを自分のお金で直すということになりますのでこの方法を選ぶ人はあまりいないのではないでしょうか。

第三者に立ち会ってもらう

自分で業者を手配することが出来ず不安な場合に最も有効な手段は友人や家族などに一緒に立ち会ってもらうことです。

立ち合いをお願いできる人がいない

友人や家族に立ち合いをお願いできる人がいない場合は、お部屋を契約した際の不動産会社などに相談してみるのも良いでしょう。不動産会社のスタッフには女性の方も多く、どうしても不安だという事を伝えれば理解してくれるはずです。

危機意識を高めよう！-エアコン修理業者睡眠薬混入事件を受けて-

エアコンの修理に限らず見知らぬ業者を自宅に招き入れることは様々なリスクが伴います。しかしながら現代においては多くの情報で溢れ、広く拡散され、私たちは無意識のうちに幾度となく同じ情報に触れることになります。そしてたとえ無意識でも繰り返し見聞きした情報を「信頼に足る情報」としてとらえてしまいます。検索結果の最上位がより多くの人に選ばれている企業であると思い込んでしまします。しかしながらこれらの情報は人間の心理を利用した意図的に作られた「広告手法」であることを忘れてはいけません。
一方でスマホひとつであらゆることが簡単に調べられる時代でもあります。身の安全に関わることやお金に関わることなどリスクの高い事柄は自身の目でしっかり調べ、より透明性の高いサービスを提供している業者を選択すると良いでしょう。